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2018年12月14日

ゼブラの技術力を集結 26分の1に小型化、部品数1.6倍 デルガード多機能タイプ、来年1月から発売

マッチョリーマンと新商品「デルガード+2C」を宣伝する石川社長(右)

筆記具にあった「ストレス」を解消した「ブレン」

 ゼブラ(石川真一社長)は、12月11日都内で「新商品技術発表会」を行い、累計販売2000万本超のシャープペン「デルガード」の多機能タイプとストレスフリーのボールペン「ブレン」について発表、特に「デルガード」新製品に時間を割き、同社開発陣を前面に押し出したプレゼンに加えて、組み立て体験や動画、実演などで「ゼブラの技術力」を印象づけた。

 「デルガード」とは、集中してペンに力を入れた時に芯が折れるというシャープペン最大の不満点を解消した筆記具。

 その仕組みは、

●紙面に対し、垂直に強い筆圧が加わると、軸に内蔵されたスプリングが芯を上方向に逃し折れを防ぐ

●斜めに強い筆圧が加わると、先端の金属部品が自動で出てきて、芯を包み込みガード

 この二つの機構が、加わる力の角度や強さに合わせて自動で配分を調整して作動することで、デルガードシリーズは2014年の発売以降、ユーザーの不満を解消し、集中を途切れさせないための付加価値を搭載することで、シリーズ累計で2000万本を売り上げる人気シリーズとなった。

 しかし、筆記具市場のトレンドは低調だ。

 石川社長は「当社の売上高は2016年度の265億円から、2017年度は277億円へと伸長している。その理由として、市場のグローバル化が上げられるが、筆記具市場は2016年から減少へ転じている。また、文具ブームの中、日経MJの番付では毎年、何かしらがランクインしていたが、最近は出ておらず、ブームが続いていない」と話す。

 さらに「国内筆記具メーカーの売上高比較では、2強対その他という構図。トップ2社に何とか食らいついていくためにも、定番商品の育成をする。マッキー、サラサクリップという2枚看板にプラスして、付加価値商品として、シャープペンの歴史を塗り替えたデルガードとブレンを成長させ、2018年度連結売上高300億円を達成したい。筆記具とスマホは共存できる。筆記具の価値はAIの登場で変化している。今回の新商品に込めた集中とストレスフリーをキーワードに、新しい創造の道具として使っていただきたい。」と意欲を見せた。

 中村崇洋商品開発部部長は、「新商品デルガード+2Cは、デルガードの機能は同じで、新しく多機能を追加した」と説明。価格は税抜1200円で、エマルジョンインクを搭載し黒と赤のボールペンとシャープペンの複合タイプとして、従来のデルガードより上の層の大学生や社会人をターゲットに据える。シャープ芯は0.5ミリ、カラーは4色(ブラック・ブルー・レッド・ホワイト)。

 開発にあたった月岡之博・研究部主任研究員は、石川社長から「デルガードにボールペンを合わせて多機能ペンに出来ないか?」と投げかけられた際に、「難しいと思ったが、モノづくりが好きなこともあり、挑戦しよう」と、逆に闘志をかき立てられたという。

 課題は二つあった。

 一つは「小型化」。多機能ペンのシャープペン機構は、ボールペンと切り替えて使うため細く短いため、約26分の1(体積比)の小型化が必要。全長137ミリ×直径10ミリのデルガードシステムを全長41ミリ×直径4ミリの中に搭載するのはかなりの困難が伴ったが、実現させた。

 もう一つは「不安定」の解決。

 手に持ったボディの中で可動するデルガードに対し、多機能ペンは、シャープペン機構がボディ内部の一部でしか固定されていな不安定な状態で可動しているため、芯をガードすることが困難。機構だけ引っ込んで芯をガードしなくなる。

 そこで月岡氏は「4つの押出すスプリングを採用することで解決した。その4つとは、新繰り出し(芯をつかんで繰り出す)、垂直ガード(垂直方向に吸収する)、斜めガード(斜め方向にガードする)、機構押出し(機構自体を押し戻す)」。

 その結果、「デルガード+2C」では従来のデルガードの部品数21点の1.6倍、従来シャープペンと比較すると実に2.6倍もの、34点の部品を使用した精密な作りとなっている。発表会では、メディア関係者一人ひとりが、精密な部品を組み立てる体験会も行われた。

 ゼブラは、「発売から4年経った今、デルガードのユーザーは大学生や社会人となってきた。シャープペンの芯折れを気にせず使えることで、毎日の勉強や仕事の集中力が続く効果がある。さらに多機能化したことで、1本でさまざまなシーンに対応できる」と期待を寄せる。2019年1月21日から全国で発売開始し、年間販売目標は100万本。

 発表会では筋肉マッチョのビジネスマン「マッチョリーマン」が登場し、激しい筆記の加重にも耐える実演がコミカルに行われ、注目を集めた。



●ストレスフリーの「ブレン」 ペンは知らない間にストレスを感じていた


 一方、同時に発表された、「ブレン」は、筆記時に生じる振動を制御した、これまでにない新ボールペン。12月12日から発売開始した。商品名は、筆記が「ブレない」ことによる造語だ。

 商品コンセプトは「デスクに紙1枚でも、ストレスなく集中して書ける筆記振動を制御したブレないボールペン」。

 背景にあるのは近年働く女性の数が増え、男性に比べて女性がビジネスシーンでボールペンを使用する機会が増えていることにある。社会人女性がボールペンを購入する際に重視することとして、約52%の人が「ストレスなく書ける」という点をあげているという。

 また、従来のボールペンは、書く時に紙とペン先が接触するとその力がボールペン内部にある隙間に伝わり、微細な振動(ブレ)が発生していたという。その振動が、ペンを持つ指に伝わり、気づかないうちにストレスを与えていることから、ゼブラはこの振動に注目し、機構を工夫して振動を制御することで、ストレスフリーな書き心地を実現させた。

 ある販売店の実演では、替え芯を含めて1日で400本を売り上げるなど、想定以上の反響だという。

 会場ではヘッドセットを付けて、他社製品とブレンの振動の比較も行われ、ブレンの優位性を体感した。

 税抜150円。エマルジョンインクを搭載し、インク色は黒、赤、青。ボール径は0.5ミリと0.7ミリ。年間販売1000万本を目標にする。

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