矢野経済研究所は、1月10日、国内文具・事務用品市場を調査結果を発表し、商品別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
2021年度の国内文具・事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比2.0%減の3,996億円となった。当年度は前年度にあった新型コロナウイルス感染症の感染拡大による数ヶ月にわたる学校の一斉休校といった事態は回避されたものの、繰り返し発出される緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置による行動制限によって需要の停滞は続いた。
特に法人需要は、企業のテレワーク・在宅勤務の定着によるオフィス需要の冷え込みもあって厳しい事業環境を強いられている。一方、全体市場の拡大に影響を与えるレベルではないものの、在宅時の生活や趣味の質を向上するための需要の高まりに対応して、アート&クラフト関連商品では売上を伸ばす商品もみられた。
2021年度の分野別の市場規模は、筆記具市場が前年度比3.7%増の820億5,000万円、紙製品市場が同1.9%減の1,383億5,000万円、事務用品市場規模が同4.4%減の1,792億円となった。
国内文具・事務用品市場は全般的に需要の停滞傾向がみられている一方で、万年筆と水性マーカーは比較的好調。
万年筆は、多彩なカラーインクを楽しむ需要を起点に万年筆に関心を持つユーザー層が増加し市場拡大を導いている。また、限定品などの高価格帯商品もコアユーザーを中心に需要の高まりが継続している。水性マーカーは、これを用いてデコレーションした手帳やカードのほか、イラストなどの画像をSNSに投稿する需要の高まりなどを受け、パステルカラーやトレンドカラーなど、多彩かつ新鮮味のあるバリエーションを有する商品が好調である。
同調査では2022年度の国内文具・事務用品市場規模は、前年度比0.5%増の4,016億円と予測した。
文具・事務用品市場は、国内は成熟市場であり、今後も少子高齢化による人口減少の進行によって構造的な需要減少は不可避の状況にある。また、2020年度において当該市場の縮小に大きく影響をおよぼしたコロナ禍は、2022年度においてもマイナス影響を与え続けており、先行き不透明感を強めている。
文具・事務用品メーカーの多くは、法人需要の停滞感が強まる環境下、パーソナルユースの商品展開に重きを置く傾向をこれまで以上に強めている。また、海外展開の強化に加え、事業領域の拡充など相乗効果を見据えたM&Aの動きも一部で活発化がみられている。
【調査要綱】
1.調査期間: 2022年10月~12月
2.調査対象: 文具・事務用品関連事業者等
3.調査方法: 同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年12月22日
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
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2023年01月10日
前年度比2.0%減の3996億円 2021年度の国内文具・事務用品市場規模 コロナ禍で需要停滞継続
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