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2019年03月29日

呉竹、100年越しの取引に感謝を込めて 大きさ1000倍の大墨を寄贈 筆匠平安堂へ 

綿谷社長から目録を贈呈される大野社長(右)

1000倍の大墨は九段の平安堂ショーウインドウに飾られている。平安堂の文字は書の大家、中村不折による

  墨の製造技術の集大成となる「大墨」


 呉竹(綿谷昌訓社長)は、3月28日午前10時、創業125周年を迎えた東京・千代田区九段南の書道用品専門店「筆匠平安堂」(大野貢平社長)に1000丁型の大墨を寄贈した。

 墨の大きさは、15gの重さの墨を1丁型ということから、1000丁型は通常の約1000倍の超ビッグサイズとなり、話題を呼びそうだ。

 寄贈式で綿谷社長は、
 
 「平安堂さんに1000丁型の大墨を寄贈させていただくことになった。平安堂さんは創業126年、当社は117年。呉竹は創業当時、下請けからスタートした苦しい時に、平安堂さんに墨を採用していただき、後には筆ペンを各百貨店を始め、有名文具店へと世に広めていただいた。また関西の企業なので、東京の地盤がなかった時に、ご支援いただいたことで初めて全国で拡売するようになった。先代からこの御恩を聞いており、当社100周年に1000丁型の墨を型入れしている時から、私もずっと平安堂さんへの寄贈を心に秘めており、このタイミングで名前入りの大墨を贈らせていただく。小さな墨であれば約1年で乾燥する。この大墨は型入れしてから15年~16年が経過しているが、まだ乾燥途中でこれから少しずつ水分が抜けていき、最終の墨に仕上がる。100年続いてきた呉竹は、平安堂さんと共にこれからの100年へとの意味も込めて贈らせていただいた」

と挨拶した。

 また大野社長は「今回、通常の1000倍の大きな名入れの墨をいただいた。呉竹さんとは100年以上の取引がある。その間、第二次世界大戦など悲しい出来事もあったが、それを乗り越えて現在に至っている。これからもよろしくお願いします」と、前向きに述べた。

 呉竹が今回の墨の構想を始めたの、平成元年(1989年)までに遡る。

 当初は、200丁型から始まり、配合、乾燥の方法などさまざまな検討を重ねた結果、1000丁型の型入れに入った時には、実に10年が経過していたという。

 墨は乾燥した状態で、1丁型で15g。1000丁型となると約15kgにもなり、型入れ時の水分を含んだ墨玉の重量は25kgになる。

 ゆっくりと乾燥させる木灰乾燥は、通常ならば1ヶ月程度だが、今回の墨は1年以上の間、木灰の中で乾燥させ、2002年の呉竹創業100周年の時に披露された。

 この時に作られた1000丁型大墨が3丁あり、今回そのうちの1丁が寄贈されたものになる。

 これほどのビッグサイズながら、「もちろん、硯(すずり)があれば磨れる」(同社)という。1000丁型の大墨は、九段にある平安堂のショーウィンドウディスプレイで見ることができる。
 

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