●【港区・虎ノ門のオカモトヤ コロナ禍で認知高める】
創業100年を超える東京の大手オフィスディーラー、オカモトヤ(本社・港区虎ノ門、鈴木眞一郎社長)が、コロナ下で開始したオンライン販売に活路を見出している。
一方、主力の外商は数年先を見据えて、あらゆるツールを駆使し、顧客との接点を途切れさせない構えだ。店舗を統括する鈴木美樹子専務に聞いた。
●【人気はオリジナルインク】
文マガ編集部(以下Q)
昨年末、オンライン販売の売上が良かったようですね?
鈴木専務(以下略)
昨年12月19日~20日の土日にオカモトヤ虎ノ門店(2019年2月リニューアル)とオンラインショップでクリスマス商品の同時販売を行ったところ、コロナ禍にもかかわらず、前年の3倍の売上になりました。
もともとは2019年12月に続いて、リアル店舗でのイベントを企画していました。ところが、11月中旬に新型コロナウイルスの感染者が都内でも500、600人と増加。その翌週に3連休があることから、12月のイベント開催は厳しいと判断し、当社とイベントを協業するTono&Lims(トノ&リムズ)さんで協議し、11月末にはオンラインイベントに切り替えて準備を進めていました。
このタイミングでオカモトヤオリジナルのクリスマスインクを発売する予定になっていて、そのほかにもオリジナルの新商品も準備していたので、リアルイベントはやらないけれども、いつも土日は閉めているお店もオープンしました。
密にならないように入場制限を設けたり、消毒・換気をする。ただインクの試し書きができるコーナーは感染のリスクを考えて、イベント中は取りやめました。
2019年12月のイベント売上130万円(店頭のみ)に対して、2020年はオンラインを含めて250万円の予算を組んでいました。内訳は、店頭で150万・オンライン100万。結果的には、店頭が145万円、オンライン216万円の計360万円売れました。
店は予想通り。Webの売上増は、やはりオンラインのイベントに切り替わっていることもあり、コロナの感染者も増えていることから、全体的にはWebの買い物する事が定着していると感じており、予想を上回り、客単価も予想より高かったです。
2019年は初イベントでオカモトヤの認知度がそれほどなかったこともあります。その後1年を通じて、ネットと店頭でお客さまに認知していただいて、売上につながったという感じです。
Q)福袋も完売したと聞きました
昨年12月29日にSNSのインスタライブでオンライン専用の福袋「オカブクロ」を告知して、元旦の午前10時に販売開始し、80個が3分で売り切れました。
店頭でも毎年、福袋を販売していますが、価格は1000円前後。一方、オカブクロに関してはインク好きの方が好きそうなものしか入っていません。価格は税抜1万円で中身は1万1000円相当のものが入っていて、その中に「当たり」のオカブクロも用意。当たりの中には通常販売していないインクや万年筆を詰めてのプラスアルファで、抽選により当たりのオカブクロを発送しました。
Q)オンライン販売のきっかけはなんでしょうか?
お客様からの要望もあったためオンラインを検討する話は出ていましたが、私も店長もお店に来てほしいからオンラインはしない方向で話をしていました。
その後、コロナがまん延してきて緊急事態宣言が出そうだという雰囲気になり、昨年2月26日に予定していた当社相談役(鈴木和男氏)のお別れの会も中止となり、3月8日にリアルのインクイベントを予定していたのを延期。その時にオンライン販売を考えるようになり、Tono&Limsさんがオンラインでイベントをやる企画を持ってきてくれて、オンラインとネットとの連携によりイベントをやっていきましょうという話になり、やることになりました。
2週間ぐらいでたたき台のサイトをつくり、4月中旬ぐらいに、とりあえずオカモトヤのオリジナルインクのみをネットに載せてみたところ、わずかな商材にも関わらず土日で40万円を売り上げました。ネットでの反響に大変驚きました。
さらに、昨年のゴールディンウィーク、5月2日~5日の4日間にオンラインイベントを実施し、商品点数を増やし、在庫のメンテナンスをするなど焦点をあてて準備しました。
その頃は、巣ごもりが進む中、オンラインのイベントもそんなに多くなかったので、4日間で480万円程売り上げました。緊急事態宣言中だったので、お店はクローズしていましたが、店舗1か月ぐらいの売上が上がりました。
●【インスタライブの効果は大きい】
Q)リアル店舗の集客も増えたそうですね?
はい、オンラインをやってみてよかったと思うのは、ネット販売なので、従来のオカモトヤの活動エリアとは異なる、北海道から沖縄までのお客さまが買ってくれたことで、当社の認知度が高まったこと。もう一つは、いろいろな商品を扱っていることで、「宣言が解けたらお店に行きます」と、いってくださる方がいて、実際お店にご来店いただいた方がものすごく増えました。
結果的にネットを通じて来店につながることで、お店に来てほしいという思いも宣言が解けたら叶い、それによってたくさんの方に認知していただきました。
認知という点では、インスタグラムの効果が大きいです。インスタのフォロワー数も300人(2019年8月)ぐらいだったのが、現在4000人(今年1月中旬)と10倍超となり、いまも増えています。
発信するのは、実店舗の店長とさらに万年筆に詳しい男性スタッフが2020年6月に入社し、この二人でインスタライブをやっています。現場のことは現場に任せています。ライブの内容は二人で打ち合わせし、インスタとかツイッターが好きな人が食いつきそうなネタを探しています。男性スタッフが加わった2020年6月以降、インスタライブも25、26回行いました。
インスタライブをやるとフォロー数が増える相乗効果につながっています。ライブの感想がSNSのコメントで拡散し、広告にもなっている。SNSとライブ、オンラインと実店舗が連携できている、いい流れになっています。
【詳細は、月刊「Bungu to Jimuki」2021年4月号に掲載】
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2021年03月01日